入浴に続いて水回りの苦手シリーズ(?)。
鬱状態が悪化すると「朝起きる」ことそのものが大きな困難になるのだけど、起き上がれたとしてもできないことに「洗顔」がある。
洗顔や着替えは起きたら当たり前に行うことのひとつかもしれないが、日常動作のひとつひとつがとてつもなく億劫で重労働に感じるのが鬱状態だ。出かける用さえなければ顔を洗わずに1日過ごすことも稀ではない。
どうしても出かけるための身支度をせねばならないけれど洗顔という大きな山を越えることができない、という時、以前はふだん使っている化粧水をコットンにつけてそれで顔を拭っていた。何もしないよりはマシだけれど、しかし化粧水は汚れを落とすことを目的とはしていないため、すっきりはしない。
そこで洗顔しないで済ませるために使ってみたものを紹介してみる。あくまで私の場合です。何もかも億劫な私だが何かを「しない」ためなら情熱を燃やすこともできるのだとこの件で知った。
・拭き取り化粧水
これは失敗だった。一般的な化粧水よりはと、一応、洗顔代わりにも使えると書いてあるものを選んだのだけど、汚れが落ちている感触があまりない。私は脂性肌寄りの混合肌なので脂っぽさが取れず、使い続けているとだんだん肌が荒れてきてしまって中止となった。
一日二日、代打にするくらいならよいかもしれない。また乾燥肌の人ならこのくらいの洗浄力(?)の方がマイルドで合っているかも。
・シートパック
洗顔から保湿までこれ1枚で、という謳い文句のサボリーノのパック。顔にパックを貼るのもめんどくさいといえばめんどくさいけれど、顔を洗うよりはマシなので一時期よく使っていた。
欠点は「サボり」という洗顔しない(できない)ことを個人の努力に帰すようなネーミングと、毎日使うには割高なこと。それから種類が少ないこと(私はメントールが苦手なのでできればメントール無配合のものを使いたいが、今のところ無配合のものは1種類しか見つけられていない)。
後述のクレンジングウォーターすらめんどくさい時のために備えておくとよさそう。
・クレンジングウォーター
コットンに染み込ませて顔を拭うことで洗顔代わりとするもの。メイクも落とせるが、洗顔代わりに使えると書いてあるものを選んでいる。メイク落としまで射程に入っていることもあってこちらは洗浄力も十分で、今のところ肌が荒れたりもしていない。肌質によってはちょっと強すぎるかもしれない。
気に入っているのはビオデルマのクレンジングウォーター。フランスの製品らしい。
ヨーロッパでは水が硬水で、洗顔すると逆に肌が荒れるため、代わりにクレンジングウォーターを使うことが多いのだとか。
ところ変われば洗顔しないことが一般的とされることもあるのだと知って一気に気が楽になった。
今はビオデルマのクレンジングウォーターを主に使っている。ほとんど顔を洗うことはなくなった。
布団を出る時に、顔を洗わなくては、と思わなくていいだけでずいぶん救われている。
鬱症状との闘いは世間の常識との闘いでもある。朝起きたら顔を洗うのが当たり前、やらないのは怠惰、ズボラ、という社会通念そのものを相手にしなくてはならない。
とはいえ今は紹介したように洗顔以外の方法やグッズがさまざまあり、選択肢がいろいろあるのはありがたいことだと思う。
ところで、鬱状態での億劫感に加えて、私は皮膚が水に濡れること自体が苦手なのではないか、とここ数年で気づいて、皮膚の感覚過敏という観点で検証してみた過程もあるのだけど、その件に関してはまた別で書いてみたいと思う。